浮世絵のような美しさ。「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」

2020年10月に惜しまれつつ他界したファッションデザイナーの高田賢三氏。パリでも大人気の『KENZO(ケンゾー)』フレグランスは、彼が愛した花の思い出が詰まっています。今回は、有名調香師が手がけたあのフレグランスの魅力を深堀りしてみました。

2020年12月15日更新

香水/フレグランス

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[1]パリを“ファッションの都”たらしめた『KENZO』

フランス人が知る日本人と言えば、高田賢三氏の名前が必ず挙がります。

ファッションデザイナーである高田賢三氏は1965年、単身パリに渡りました。

当初はファッションのデザイン画を売っていて、それをきっかけに既製服メーカーに雇われたことからパリで暮らすようになります。

1970年には自身初のコレクションを発表。

その鮮やかな色彩と明るいコレクションで当時のファッション業界に旋風を巻き起こしました。

人格者でもあった彼が後に活躍するデザイナーに与えた影響は大きく、パリでは大変な人気者だったと聞きます。

2016年にはこれまでの功績が称えられ、フランス政府から芸術文化勲章のシュバリエ賞を受賞。

この頃にはファッションだけでなくフレグランスの世界でも成功していました。

残念ながら、2020年の10月に新型コロナウイルスの合併症で帰らぬ人となってしまいましたが、ジャン・ポール・ゴルチエやシャンタル・トーマスらトップデザイナーが次々と追悼を残しました。

高田賢三氏は、“先駆者”、“革新的”、“快活”とよく言われていたそうです。

そのファッションやフレグランスは他に類を見ないほど個性的なもので、前を向きたくなるような明るい作品ばかり。

自身が“生きる喜び”にあふれていたという『KENZO(ケンゾー)』。

フレグランスラインもまた大変な人気で、西洋と東洋の良い所をミックスさせた“粋”な香りがします。

実は世界一の調香師が手がけているという『KENZO(ケンゾー)』の人気フレグランス。その秘密を探ってみました。

[2]浮世絵のような美しさ「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」

世界一の調香師が手がけている香り


出典 kenzoparfums.com/jp/ja/flower-by-kenzo/

トップノート:クロスグリ、サンザシ、ブルガリアンローズ、マンダリンオレンジ
ミドルノート:オポポナックス、ジャスミン、パルマ産すみれ、ローズ
ラストノート:バニラ、ホワイトムスク、インセンス、アンブロキシド

『KENZO(ケンゾー)』フレグランスの代表作と言えばこちらの「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」

一輪挿しのようなボトルデザインは目を引く存在ですよね。

オリエンタル・フローラルの香調で、高田賢三氏がこよなく愛したポピーの花がモチーフとなっています。

実はポピーの花自体に香りはないそうです。

空に向かってまっすぐと立つように花咲かせるポピーを『KENZO(ケンゾー)』哲学と重ねて、調香師のアルベルト・モリヤスが独自で香りづけたのが「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」。

アスファルトでも力強く咲くポピーのイメージは、都会で生きる“パワフルな女性”を表現しているんだとか。

この香りを作ったアルベルト・モリヤスは、調香数が世界一というマスター・パフューマー

代表作に『Calvin Klein(カルバン・クライン)』の「CK ONE(シーケー・ワン)」、『LANCÔME(ランコム)』の「Miracle(ミラク)」など、誰もが知っている香りを手がけています。

 

力強さと浮遊感と


出典 instagram.com/p/CBajn_EH3FF/

「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」はオリエンタル・フローラルの香調に分類されますが、その香りの印象は実にシンプルなものでした。

シンプルと言っても単調、という訳ではなく、複雑さがそこまでないかな?といったものです。

最初の香り立ちはキリっとしていて、グリーン系フローラルが漂います。そしてミドル以降に徐々に香る石鹸のようなパウダリー感がとても心地よく、全体的にライトで清潔な印象です。

確かにポピーの花の姿が思い浮かんでくるようでした。

ポピーは一輪だけだと、まっすぐで姿勢が良く、力強く咲いているように見えます。
ですが、花畑で束としてポピーを見ると、花たちがフワフワと揺れてとても可愛らしいイメージを持ちます。

私は「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」には、その力強さ浮遊感(柔軟性)の両方が香りで表現されていると思いました。

個人としてはパワフルなのに、集団では周りの空気を読んで柔軟に対応できる女性。

バラほどのスター性は持ち合わせていなくても、“なくてはならない存在”となっている女性。

「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」はそんなポピーの、控えめだけど“粋”な存在感を見事に表現しているんです。

絵で例えるなら西洋画より浮世絵です。

花を描いた絵画はたくさんありますが、その芯の強さと線の細さのコントラスト美は日本画にしかないと思っています。

そういった意味では、「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」の香りはとても芸術性の高いもの。

ですが、そこを声高にアピールしていないといいますか、控えめでいたいという姿勢が実に『KENZO(ケンゾー)』らしいのです。

正統派オールマイティーな香り

出典 instagram.com/p/CIGhgEaHqFQ/

日本人女性をイメージする時、浮かんでくる香りが「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」です。

清潔で、としていて、前に出すぎない

「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」の清潔感は、実は日本女性にぴったりと合うのではないでしょうか。

夏でも冬でもOKですし、正統派な香りとしてシーンを選ばず身にまとうことができそうです。

そしてこの香りには“ナチュラルメイク”が良く似合います。

年齢は問わないと思いますが、20代の女性がさりげなくまとっていたらビジネスシーンでも好感度が上がりそう♪

もしかしたら、このようにシンプルな香りがいちばん飽きがこないのかもしれません。

一周まわって最後に「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」に戻るシンプル…かつ、完璧。そんな鉄板香水として、今後もずっと輝き続けることでしょう。

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[3]フラワーパワーを味方に

高田賢三氏がこよなく愛したポピーの花

この愛らしくも力強いポピーを思い浮かべながら「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」を香るとより面白いかもせれません。

時代の先駆者として名を馳せた人の香りには“名香”と呼ばれるものが多いのですが、間違いなく「FLOWER BY KENZO(フラワー・バイ・ケンゾー)」もその一つに入ると思いました。

パリが育てた偉大なブランド『KENZO(ケンゾー)』、永遠に。

>>『KENZO PARFUMS(ケンゾーパフューム)』公式サイトはこちら

 

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